12/7(土)より山口千絵さんの個展を行います。山口さんは螺鈿・漆芸家として、手のひらに収まるサイズの小さなほとけさま(仏像)を中心に制作されています。ほかにも動植物のモチーフを扱ったり、また小さな壁掛けの作品(「ひっつきむし」などで貼り付ける合理性!)なども展開しています。
今回は離岸での展示にあわせて特別に香合や短冊作品をつくって頂く予定です。
螺鈿を使った作品において山口さんは漆や木地の「地」の部分と螺鈿の「図」の部分のバランスをとてもよく気にかけています。作品のどれくらいの部分を螺鈿で埋めるのか、そのあたりもじっくり観察してみると面白いです。
また掌品ということで必然的に線は単純に研ぎ澄まされ、必要最低限の線においてほとけさまの姿が顕現します。このような単純化によって、むしろ神々しさを想像する余白のようなものが生まれ、小さいながらも存在感のある柔和な姿が出来ています。
DM作品については会期前のお問い合わせも承れます。お気軽にご連絡ください。
(※ご売約済:上掲横一列に並んだ作品の左端、左から四番目、左から六番目、右から四番目。)
山口千絵さんは初日の夕方まで在廊してくださいます。(小さなお子様の育児をしながら、タイトなスケジュールで頑張って納品してくださいました。)
東日本では初となる山口さんの個展ですので、皆様どうぞ、足をお運びくださいませ。かわいらしく、傍にあるだけで守っていてくれそうな、良いオーラをまとった作品で新しい年をお迎えしてくだされば嬉しく思います。
小さなもの。目を凝らし、手を凝らし、専心し、ほとけの姿を立ち上がらせていく。凝縮された空間のなかで必然的に線はシンプルになり、研ぎ澄まされて、これ以上でも以下でもないその界面に、ほとけが顕現する。
かわいいもの。可愛さと尊さが等価であるような、新しい祈りの形。仏像としては型破りであり、むしろだからこそ、祈りはより純粋に象られていく。何故ならば小ささもかわいさも、山口千絵の実存と深く結びついているから。
山口千絵のほとけさまはやさしく、ほっこりと暖かく私たちを見守ってくれている。野辺の小さな花のように、無量の星のように、光り輝きながら。
山口千絵
1988年奈良県生まれ。
2011年京都精華大学プロダクトデザイン学科卒業
京都の家具製作所にて木工の修行の後、漆教室に通いながら螺鈿の制作を始める。