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村上三和子×梶原靖元 コラボ展 〜400年の時空を超えて〜

2023.4.15(土)~23(日) / 11:00-18:00

*終了しました

展示会

村上三和子梶原靖元コラボ展オモテ

村上三和子x梶原靖元 コラボ展
-400年の時空を超えて-

2023.4.15(土)~4.23(日) ※ただし会期中の火曜日、水曜日は休廊いたします
Open 11時~18時 ※17日以降は17時ごろ閉店です。

作家在廊日 4/15(土),16(日)★梶原靖元さんのみ在廊

混雑時、入店制限や購入点数制限などをさせていただく場合もございます。
4.17月 20時よりオンライン販売を開始します。

作家プロフィール
村上三和子
1958年 佐賀県生まれ
1993年 一級技能士取得(陶磁器加飾部門)
1995年 伊万里・有田焼伝統工芸士取得(経済産業省認定)
2011年 陶房 青(吉村陶苑)にて企画デザイン
2018年 秋篠宮殿下 総裁ご就任30周年記念品制作
2019年~国立大学法人佐賀大学芸術地域デザイン学部非常勤講師

梶原靖元
1962 伊万里生まれ
1980 有田工業高校デザイン科卒
1986 唐津の太閤三ノ丸窯に弟子入
1989 大丸北峰氏に師事、煎茶道具を習う
1995 唐津市和多田にて独立
1997 佐里大谷にて穴窯築窯
2003 韓国にて研修
2004 韓国古窯跡視察
「古唐津研究会」発足
2005 中国の地質巡検

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唐津と伊万里の物語

 唐津と伊万里は、兄弟のような存在です。どちらも半島・大陸から渡って来た陶工が創始したものと考えられています。「唐入り」の前後に日本にやって来た(連れて来られた)彼の地の陶工らは、はじめ唐津で幾つもの窯を作り、有田で磁器に適した陶石を見つけると有田の地へと移って行きました。
 茶の湯において格別の地位を与えられた古唐津。白磁に色鮮やかな絵付を世界に向けて羽ばたかせた古伊万里。渡来した兄弟は、それぞれの地で、浮き沈みを経ながら別々の道を歩んでいきました。
 そして、令和の世も5年経ったころ、両者の末裔は思いもよらぬ形で、出会うこととなります。

 ある日、今展の作品がギャラリーに届き、検品のため、無造作に新聞紙でくるまれた作品を取り出してみると、そこにあったのは、涙が出そうになるような〈もの〉でした。それは古唐津であり、古伊万里であり、この世に生を享けたことを祝ぐかのように純真で光り輝いていました。そしてその興奮を梶原さんにお伝えしようと連絡すると、すぐに次のような返信が来ました。

「古唐津の陶工と古伊万里の陶工
同じ血を分けた陶工たち400年の間ずっと交わることがなく平行線だったが今ここに美しく花舞い降りる!」(引用ママ)

400年。その言葉を見たときにハッとしました。過去の陶工について考え続け、古唐津研究会を立ち上げた梶原さんのこの言葉こそ、今回のコラボレーションの意味を、何より雄弁に語っているでしょう。
 時代の趨勢の中で翻弄された民草が唐津や伊万里に渡来したからこそ、世界に誇る美を結実させたという複雑で、簡単に白黒をつけられない歴史のその突端で、令和の世、継承者たちが、古〈いにしえ〉を超えた古として、全く新しい美を生みだしたのです。
 そしていうまでもなく、これは村上三和子さんと梶原靖元さんだからこそ、成し得た物語でありましょう。

 村上さんは上絵の国家資格を所持する伝統工芸士として、伊万里、有田の地を拠点に活躍されています。伝統的な絵柄と独自のモチーフを巧みに使いこなし、波佐見のくらわんかで鍛錬された附立筆の技術は、今展においても要となる超絶技巧です。近年では絵付師、デザイナーとしてだけでなく、作家活動も展開されています。
 そんな村上さんの技術に衝撃を受けた梶原靖元さんが、是非一緒にやりたいという希望から今回の企画が動き出しました。全国各地や李朝の古窯跡などで材料を探し、近年では大胆な手びねりの手法を繰り広げる梶原さん。他の作家とコラボレーションするというのは、初の試みとなります。

 今回の展示では、出品作のほとんどが村上x梶原のコラボ作品となります。すでに確固としたキャリアを築きながら、なお新たな試みを求めて自らを更新し続けるお二人の挑戦と歴史的邂逅に立ち会える、またとない機会ですので、ぜひともご覧頂けましたら幸いです。
 わたしたちは今、二人の作家によって古唐津と古伊万里が再び出会った世界線に生きています。(
しかし、そうでない可能性も、もちろんありえたのです。)あり得たかもしれぬものを思い、それを形作ろうとする営み。偶然と必然が織りなす縁。今ここに降臨した福音ともいうべきその美は、魂を揺さぶるものでした。軽やかに。自由に。清らかな祈りにも似た色と形とで。

離岸 生嶋唯行

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梶原さんのご厚意で、貴重な動画を拝借いたしました。

村上さんのつけたて筆の技、梶原さんのろくろの技をご覧ください。

作品を実際にご覧になる前に、また作品をご覧になった後でこの動画を見ると、作品の見え方、感じ方が変わってきて面白いと思います。

村上さんの動画は唐津の作家さんたちが、伊万里の村上三和子さんのところに行って、その制作の様子をご覧になっている様子です。

唐津と伊万里は地理的には近いわけですが、意外とこれまでこうした交流は無かったそうで、村上さんも唐津の方が見に来るは初めてとおっしゃていました。

その意味でも「歴史的邂逅」の貴重なドキュメンタリーになっているのかなと思います。